守備イニングという指標

 このブログでは、
  ・株式会社エスミの事業内容
  ・株式会社エスミが開発、販売するソフトの紹介
  ・事例の紹介
などをおこないます。

 今回は事例の紹介です。
 2016年のプロ野球のデータを取り上げます。できるだけ公式記録集などに載らないような記録に着目していきます。

 

バントという指標(6)

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 今回は事例の紹介です。
 2015年のプロ野球のデータを取り上げます。できるだけ公式記録集などに載らないような記録に着目していきます。

 前回は打者から見たバント作戦の成功率と失敗率を紹介しました。今回は投手から見たバント作戦の成功率と失敗率を紹介します。
バントと言えば、送りバント(犠打、犠牲バント)をイメージされると思います。送りバントの数値(送りバントが成功した数)は打者には記録されます。しかし、投手にはバントをされた数やバントを防いだ数というのは記録に残りません。バント作戦の成功数と失敗数を見ることで、何かがわかるかもしれません。

 下表はバント企図数のランキングです。バント安打、送りバント成功、バント失敗の合計が23個以上(16人)を掲載しました。数値は「エキサイトベースボール」を参考にしました。手計算による集計のため、正確性の保証はできないことをご了承ください。

 送りバントをされた数が最も多かったのは則本昂大(楽天)の21個、バントによる被安打の数が最も多かったのはマイルズ・マイコラス(巨人)と西勇輝(オリックス)と野上亮磨(西武)の3個でした。
 バント後に失点したのか無失点だったのかまでは検証していないので、この数の大小だけで論じるのはあまり意味がありません。

 投手の場合、バントを許した数よりもバントを防いだ数を見る方がピンチを縮小した指標にもなって、おもしろそうです。
 バント失敗の数が最も多かったのは、牧田和久(西武)の11個でした。前回も説明したように、ここでのバント失敗というのは以下の2種類があります。
 (1)「無走者」や「2死」の場面のセーフティバントが失敗した
 (2)バントを試みたのに走者を進められなかった

 牧田和久の11個のうち、(1)が2個、(2)が9個ですので評価が難しいところですが、どの投手よりも相手のチャンスを広げなかった(作らせなかった)のは間違いなさそう(その後で無失点で切り抜けたかどうかはまた別)です。

 続いて、分子を「バント失敗」、分母を3つの合計にして、バント作戦の失敗率を出しました。16人の中で最も失敗率が高かったのは牧田和久(西武)の44.0%でした。投手全員の平均は23.6%ですので、牧田和久は平均的な投手に比べて約1.86倍の失敗率ということになります。

 おまけの情報として、各投手の被打率、被出塁率、被長打率、被OPSを併記しました。打者の時のようなバントとの関連性を見ても意味がないと思いましたが、井納翔一(DeNA)の数値の悪さが気になるところです。被OPSの高い投手を相手にバント作戦は勿体無いと考えるか、バント作戦のおかげで得点に繋がったかもしれないので合理的と考えるか、・・・などといったことが思い浮かびますが、この数値だけではわからないので、詳細は登板ごとの投球内容を調べる必要があるでしょう。

バントという指標(5)

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 今回は事例の紹介です。
 2015年のプロ野球のデータを取り上げます。できるだけ公式記録集などに載らないような記録に着目していきます。

 今回はバントについて紹介します。
 バントと言えば、送りバント(犠打、犠牲バント)をイメージされると思います。送りバントの数値(送りバントが成功した数)は個人ごとに記録されます。一方、送りバントが失敗した数というのは記録に残りません。成功した数だけなく、失敗した数と併記することで上手い選手や下手な選手がわかるかもしれません。

 下表はバント企図数のランキングです。バント安打、送りバント成功、バント失敗の合計が20個以上(16人)を掲載しました。数値は「エキサイトベースボール」を参考にしました。手計算による集計のため、正確性の保証はできないことをご了承ください。

 送りバント成功の数が最も多かったのは、菊池涼介(広島)の49個でした。ほとんどが2番打者として起用でしたので、無死1塁の場面で送ったのは38個ありました。

 バント安打の数が最も多かったのは、中島卓也(日本ハム)の7個でした。
 このバント安打というのは送りバントにはカウントされません。多くのサイトでは内野安打と区別せずに「投安」や「三安」のように記載されていますが、「エキサイトベースボール」では「投バ安」や「三バ安」のように記載されています。バント安打には以下の2種類があります。
 (1)「無走者」や「2死」の場面でセーフティバントが成功した
 (2)送りバントのつもりが内野安打になった

 (1)については、塁上に送るべき走者がいませんので、足の速さだけでなく転がす技術と守備陣の隙を見逃さない眼が要求されます。毎回毎回、狙ってできるものではありませんが、こういう打者がいると攻撃の幅が広くなると言えるでしょう。
 (2)というのは、例えば、無死1塁から送るつもりでバントをしたのに、絶妙な場所に転がって内野安打になり無死1,2塁でチャンスが拡大したということです。1死2塁と無死1,2塁では大きな違いがありますので、得点できる可能性が高まったと言えます。この場合、走者を無事に進塁させたのですから、犠打にカウントしても良いと思うのですが、残念ながらそうなっていません。打者自身が犠牲(アウト)になっていないですから仕方がないのかもしませんが、かつてのセーブポイント(セーブ+救援勝利)のように、犠打ポイント(犠打成功+バント安打)のような指標があればバントの上手い選手がもっと評価されるかもしれません。

 バント失敗の数が最も多かったのは、炭谷銀仁朗(西武)石川雄洋(DeNA)能見篤史(阪神)の10個でした。失敗の内訳は後述します。
 多くのサイトでは内野手への凡打と区別せずに「投ゴ」や「三飛」のように記載されていますが、「エキサイトベースボール」では「投バゴ」や「三バ飛」や「バ三振」のように記載されています。バント安打と同様に、バント失敗にも以下の2種類があります。
 (1)「無走者」や「2死」の場面のセーフティバントが失敗した
 (2)バントを試みたのに走者を進められなかった

 (1)については、野手の正面に転がって楽々アウトになると見ている方もガックリ来ますが、足の速い選手にしかチャンレンジできない作戦ですので、ある程度の失敗はやむを得ないのかもしれません。
 (2)というのは、三振(空振りやファール)したり、ゴロやフライで走者が封殺されたり、併殺になったりしてチャンスが縮小したということです。無死1塁から1死1塁になると、アウトが増えて走者はそのままです。最悪なのは無死1塁から2死無走者になった場合で、併殺で一度に2死を取られると、無得点の可能性が高まったと言えます。

 これらの合計を分母にして、分子をバント安打と送りバントにしたもので成功率を出しました。16人の中で最も成功率が高かったのは片岡治大(巨人)の92.3%でした。打者全員の平均は76.4%でした。
 最も成功率が低かったのは石川雄洋(DeNA)の52.4%で、昨年に続いての最下位でした。10個のうち、3個が犠打失敗(そのうちバント併殺打が1個)、7個がセーフティ失敗となっており、16人の中で唯一60%を下回っています。
 炭谷銀仁朗も同じ10個ですが、9個が犠打失敗(そのうちスリーバント失敗が1個)、1個がセーフティ失敗でした。能見篤史はバント企図の合計が15でしたのでランキングの対象外ですが、成功率は33.3%と圧倒的な低さです。10個のうち、9個が犠打失敗(そのうちスリーバント失敗が3個、バント併殺打が3個)、1個がセーフティ失敗でした。送れないどころか併殺打もあり、チャンスを作ることができませんでした。

 おまけの情報として、各打者の打率、出塁率、長打率、OPSを併記しました。
 送りバント(犠打、犠牲バント)というのは、打撃が劣る選手がやることが多いです。16人のうち、打率.250以下の選手が9人、長打率.350以下の選手が12人ですので、確実性(打率)よりも長打力の(期待が)低い選手が多いようです。
 ちなみに、2015年の平均打率は.252、平均長打率は.368でした。

 今回、バント作戦の成功率を求めましたが、打撃成績から拾い出せないケースが3つ存在します。
 1つ目は送りバントをするつもりで構えていたのに、四球または死球になった場合です。投手がバントを警戒して微妙にコースをついた結果、ストライクゾーンにボールが入らなかったケースを見たことがあると思います。あるいは投球が内角へ行ってしまい、打者の頭部付近や腕や腹部に当たってしまったケースです。
 このような場合、打撃成績には「四球」または「死球」と記載されます。「バ四球」や「バ死球」と記載してくれると記録マニアとしては嬉しいのですが、そういうサイトは無いようです。バントしようとした結果、四死球を得た(出塁してチャンスを広げた)のですからバント作戦は成功とみなすべきですが、打撃成績から判断できないのは残念です。
 2つ目は打撃が完了する前にスクイズを失敗した場合です。例えば、無死または1死で3塁に走者がいる場面で、初球にスクイズを試みるも、バッテリーに外されて、3塁走者がアウトになるケースを見たことがあると思います。この時点では、アウトが1つ増えますが、打者はアウトになっておらず、カウントは0ボール・1ストライクです。この後、打者がヒットを打てば「安打」、アウトになれば「凡打」が記録されます。つまり、初球のスクイズ失敗は打撃成績として記録に残りません。
 3つ目は守備妨害でアウトになった場合です。バントした(またはバントしようとした)打者と捕手が交錯したり、バントの構えから打者が見送った後、捕手が走者を刺そうとして打者が送球の邪魔になったりしたケースを見たことがあると思います。
 このような場合、打撃成績には「守備妨害」と記載されます。「バ守備妨害」と記載してくれると記録マニアとしては嬉しいのですが、そういうサイトは無いようです。単に「守備妨害」だと、バント企図時なのかバント企図時以外なのかが判断できません。バント企図時であれば、バントしようとした結果、アウトになったのですからバント作戦は失敗とみなすべきですが、打撃成績から判断できないのは残念です。

 このような問題がありますので、今回の表だけでバント作戦の成功率を論じるのは不充分なわけです。正確に成功率を求めるのであれば、試合の映像を見ながらチェックしていくことが必要になります。

 次回は投手から見たバント作戦の成功率を見ていきます。

EXCEL統計Ver.7.0の紹介(20)

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 今回は事例とソフトの紹介で、『EXCEL統計Ver.7.0』から箱ひげ図を紹介します。
 箱ひげ図は2015年9月10月の記事でプロ野球選手の年俸(2014年)を例に描画しました。
 2016年10月に、Excel2016に対応した更新プログラムを公開しました。新しいプログラムでは以下のようにグラフ内に平均値(赤い×)を追加しました。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 どの球団も平均値は75%点に近く、中央値とは離れていることから、一部の高給取りの存在が平均値を押し上げていると言えます。あと10日ほどで今年の選手名鑑が本屋に揃いますので、機会があれば2017年の年俸データの箱ひげ図も紹介したいと思います。

 Excel2016では箱ひげ図が描画できるようになりました。データを範囲指定して描画させると、以下のようになります。上ヒンジが一致していない球団もありますが、それ以外ではEXCEL統計と同じです。平均値も×で表示されています。ただし、Excelで描画する箱ひげ図は縦と横の向きを逆にすることはできないのでご注意ください。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 Excel2016で作成した箱ひげ図をExcel2013以前で開くと、以下のように表示されますので、Excel2016がインストールされていない方にExcelファイルを送る(渡す)には図として貼り付ける(ただし、グラフの編集ができなくなります)必要があります。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 Excelの操作法については「Excel2016箱ひげ図」で検索してみてください。

フライアウトという指標(6)

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 今回は事例の紹介です。
 2015年のプロ野球のデータを取り上げます。できるだけ公式記録集などに載らないような記録に着目していきます。

 前回はフライアウトとライナーアウトが多い投手のランキングを見てきました。今回はフライアウトとライナーアウトが多い打者のランキングを紹介します。

 下表はフライ(フェアゾーンに飛んだもの)によるアウトのランキングです。1つ目の表がフライアウト数の多い順(20位まで)、2つ目の表がフライアウトの割合(打席数で割り算)が高い順です。2つ目では打席数を150以上とし、フライアウトの割合が22.0%以上(打者全員のフライアウトの平均は17.4%)を掲載しました。投手では22.7%以上を掲載しましたが、打者では該当人数が少ないので、22.0%に下げています。数値は「エキサイトベースボール」を参考にしました。手計算による集計のため、正確性の保証はできないことをご了承ください。

 フライアウト数の1位は昨年と同じくルイス・クルーズ(ロッテ)でした。積み上げていく記録ですので、当然のことながら上位には打席数が多いレギュラー野手が並んでいます。

 続いて、フライアウトの割合を見ていきます。
 1位は昨年と同じくルイス・クルーズ(ロッテ)の30.6%で、フライアウト数に続いてのトップでした。2位が25.9%ですので、群を抜いていると言えます。

 続いて、ライナーアウトです。下表はライナーアウト(フェアゾーンに飛んだもの)によるランキングです。1つ目の表がライナーアウト数の多い順(18位まで)、2つ目の表がライナーアウトの割合(打席数で割り算)が高い順です。2つ目では、これまでと同様に打席数を150以上とし、フライアウトの割合が2.3%以上(打者全員のライナーアウトの平均は1.6%)を掲載しました。
 なお、外野手へのライナーアウトはほとんどなかった(年間4個)ので表から省きました。また、キャッチャーへのライナーというのも現実に起こることはないので表から省きました。

 ライナーアウト数の1位は鈴木大地(ロッテ)秋山翔吾(西武)で、鈴木は昨年も1位でした。これも積み上げていく記録ですので、当然のことながら上位には打席数が多いレギュラー野手が並んでいます。

 続いて、ライナーアウトの割合を見ていきます。
 もともとライナーアウト自体が起こりにくいです。野手の正面に飛べばアウトになりますが、打球が速く滞空時間が短い打球だと野手の守備範囲の近くに飛んでも安打になりやすいからです。全打席数に占める割合は1.6%ですので、打者同士の差がつきにくい指標と言えるかもしれません。
 1位は本多雄一(ソフトバンク)の4.02%で、特にショートライナーの割合が高くなっています。

 最後に、ファールフライアウトです。下表はファールフライアウトによるアウトのランキングです。1つ目の表がファールフライアウト数の多い順(17位まで)、2つ目の表がファールフライアウトの割合(打席数で割り算)が高い順です。2つ目では、これまでと同様に打席数を150以上とし、ファールフライアウトの割合が3.6%以上(打者全員のファールフライアウトの平均は2.5%)を掲載しました。
 なお、センターへのファールフライアウトはなかったので表から省きました。

 ファールフライアウト数の1位はルイス・クルーズ(ロッテ)で、フライアウト数に続いてのトップで、第2位の31個を大きく引き離しています。特にキャッチャーとファーストへのファールフライが多くなっています。これも積み上げていく記録ですので、当然のことながら上位には打席数が多いレギュラー野手が並んでいます。主に中距離~長距離打者タイプが多いようです。

 続いて、ファールフライアウトの割合を見ていきます。
 ライナーアウトほどではありませんが、ファールフライアウトも起こりにくいです。全打席数に占める割合は2.5%ですので、こちらも打者同士の差がつきにくい指標と言えるかもしれません。
 1位はルイス・クルーズ(ロッテ)の7.14%で、ファールフライアウト数に続いてのトップでした。昨年は2位だったので、安定して高い割合を残しています。

ブラッドリーテリーモデル(3)

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 過去2回でブラッドリーテリーモデル(BTモデル)を紹介しました。下表は2016年ペナントレースの対戦成績(引分を0.5勝0.5敗として加算)から算出したπiと相性(カモと苦手の関係)です。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 πiを見ると、50を超えているのは過去2回と同様、パ・リーグの上位3球団と広島でした。
 過去2回では広島のπiは4位でしたが、最終的にはロッテを抜いて3位でした。広島は勝率では1位、交流戦では日本ハムに勝ち越し、ソフトバンクと五分なのですが、πiは日本ハムとソフトバンクよりも下でした。巨人とDeNAに1勝しか勝ち越せなかったのが原因かもしれません。
 オリックスは完全最下位(オープン戦、交流戦、リーグ戦、ファーム)という不名誉な記録を打ち立ててしまいましたが、πiは9位でした。2位のソフトバンクに善戦したのが大きかったかもしれません。
 12球団もあって対戦成績が複雑になってくると、勝敗数だけで解釈するのは難しく、意外なπiになるのがこの手法のおもしろいところではないでしょうか。

 

ブラッドリーテリーモデル(2)

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 2016年のプロ野球のデータを取り上げます。できるだけ公式記録集などに載らないような記録に着目していきます。

 以前にブラッドリーテリーモデル(BTモデル)を紹介しました。下表は8月18日までの対戦成績(引分を0.5勝0.5敗として加算)から算出したπiと相性(カモと苦手の関係)です。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 πiを見ると、50を超えているのは前回と同様、パ・リーグの上位3球団と広島でした。
 8月18日終了時点で、パ・リーグは勝率ではソフトバンクが上回っていますが、ゲーム差が-0.5という珍現象が起こっていました。引分を0.5勝0.5敗とすると日本ハムが勝率で上回るためか、πiは日本ハムの方が高くなっています。ソフトバンクvs日本ハムの直接対決で日本ハムが勝ち越しているも大きいかもしれません。
 交流戦終了時点ではソフトバンクvsオリックスの対戦成績は8勝1敗でカモにしており、0.786となっていましたが、8月18日終了時点では11勝7敗と接近しており、-0.496と悪化しているのが気になります。

フライアウトという指標(5)

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 前々回まではゴロアウトと併殺打のランキングを見てきました。今回はフライアウトとライナーアウトが多い投手のランキングを紹介します。

 下表はフライ(フェアゾーンに飛んだもの、バント失敗によるフライは除外)によるアウトのランキングです。1つ目の表がフライアウト数の多い順(20位まで)、2つ目の表がフライアウトの割合(打者数で割り算)が高い順です。2つ目では打席数を150以上とし、フライアウトの割合が22.4%以上(投手全員のフライアウトの平均は17.4%)を掲載しました。数値は「エキサイトベースボール」を参考にしました。手計算による集計のため、正確性の保証はできないことをご了承ください。

 フライアウト数の1位は昨年と同じく大野雄大(中日)でした。特に、センターフライとショートフライが多くなっています。積み上げていく記録ですので、当然のことながら上位には投球イニング数が多い先発投手が並んでいます。

 続いて、フライアウトの割合を見ていきます。
 13人を見ると、先発投手やリリーフ投手のどちらかに偏ることなく入り混じっています。フライアウト数で1位だった大野雄大は19.6%(45位)でランク外でした。
 1位は山中浩史(ヤクルト)の26.2%でした。特に、レフトフライとセンターフライが高くなっています。9試合に登板して50イニングを投げ、210打席で、被打率0.281、被出塁率0.320、被長打率0.417、被OPS 0.737、防御率3.24の成績を残しました。

 続いて、ライナーアウトです。下表はライナーアウト(フェアゾーンに飛んだもの)によるランキングです。1つ目の表がライナーアウト数の多い順(17位まで)、2つ目の表がライナーアウトの割合(打席数で割り算)が高い順です。2つ目では、これまでと同様に打席数を150以上とし、ライナーアウトの割合が2.3%以上(投手全員のライナーアウトの平均は1.6%)を掲載しました。
 なお、外野手へのライナーアウトはなかったので表から省きました。また、キャッチャーへのライナーというのも現実に起こることはないので表から省きました。

 ライナーアウト数の1位は昨年と同じく涌井秀章(ロッテ)でした。特に、ショートライナーが多くなっています。これも積み上げていく記録ですので、当然のことながら上位には投球イニング数が多い先発投手が並んでいます。
 注目したいのは菊池保則(楽天)です。ランキングには載っていませんが、一塁ライナーの数は第1位でした。この2つ前の表でもランキングには載っていませんが、一塁フライの数でも第1位で、とことん一塁手に打ち上げさせた投手と言えます。

 続いて、ライナーアウトの割合を見ていきます。
 18人を見ると、先発投手やリリーフ投手のどちらかに偏ることなく入り混じっています。もともとライナーアウト自体が起こりにくいです。野手の正面に飛べばアウトになりますが、打球が速く滞空時間が短い打球だと野手の守備範囲の近くに飛んでも安打になりやすいからです。全打席数に占める割合は1.6%ですので、投手同士の差がつきにくい指標と言えるかもしれません。
 1位は吉田一将(オリックス)の4.19%でした。特に、ショートライナーの割合の高くなっています。

 最後に、ファールフライアウトです。下表はファールフライアウトによるアウトのランキングです。1つ目の表がファールフライアウト数の多い順(18位まで)、2つ目の表がファールフライアウトの割合(打席数で割り算)が高い順です。2つ目では、これまでと同様に打席数を150以上とし、ファールフライアウトの割合が3.6%以上(投手全員のファールフライアウトの平均は2.5%)を掲載しました。
 なお、センターへのファールフライアウトはなかったので表から省きました。

 ファールフライアウト数の1位は大野雄大(中日)でした。大野はフライアウトも1位、ライナーアウトは8位タイで、とことん上へ打たせた投手と言えます。これも積み上げていく記録ですので、当然のことながら上位には投球イニング数が多い先発投手が並んでいます。

 続いて、ファールフライアウトの割合を見ていきます。
 16人を見ると、先発投手やリリーフ投手のどちらかに偏ることなく入り混じっています。ライナーアウトほどではありませんが、ファールフライアウトも起こりにくいです。全打席数に占める割合は2.4%ですので、こちらも投手同士の差がつきにくい指標と言えるかもしれません。
 1位は石田健大(DeNA)、2位は僅差でスコット・マシソン(巨人)で5.33%でした。石田がキャッチャーフライの割合が高かったのに対し、マシソンはショートフライとライトフライの割合が高くなっています。

ブラッドリーテリーモデル

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 プロ野球のデータ分析を扱った『スポーツの数理科学 -もっと楽しむための数字の読み方-』(共立出版)という本があります。かなり古い本(1988年4月発行)になりますが、プロ野球や大相撲のデータを使っていろいろな角度から分析がおこなわれています。ただし、簡単に読めるような内容ではなく、一般化された数式が数多く載っており、数学が相当に得意な方でないと読みこなせないと思います。
 筆者が大学3年生の時に、大学の図書館から借りましたが、ほとんど理解できませんでした。一般化された数式の意味がわからなくても、実際のデータを使った計算手順が示されていれば少しはわかったかもしれませんが、途中過程がほとんど載っておらず、最終的な答えがあるだけでした。本を借りた目的がExcelに数式を入れて数字遊びをすること、あわよくば卒業論文の題材にすることでしたが、そんなに簡単なことではありませんでした。

 1988年当時、パソコンはまだ高価で各家庭には普及していません。数式を理解できて、プログラム化できる環境があった方というのはかなり少なかったのではないでしょうか。そういう意味ではハードルの高い本と言えるでしょう。
 6年ほど前に古本屋で購入して久しぶりに読みましたが、やはり理解できませんでした。しかし、筆者が理解できなくてもエスミには理解できる人がいます。今回は筆者が興味を抱いた、第2章の「強さ」をはかるで紹介されているブラッドリーテリーモデル(BTモデル)を紹介します。

 下表は1986年ペナントレースの対戦成績(引分は除外)です。1988年発行ですので、載っている事例もその時代のものになっています。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 ペナントレースでは勝率で順位が決まりますので、この表の上から1位、2位、・・・6位となっています。順位がついているのだから強さもこの順番だと思われるかもしれませんが、チーム間の相性(カモと苦手)も考慮する必要があります。本では難しいことがいろいろと書かれていますが、それらを全て飛ばして計算結果をお見せします。
 下表をご覧ください。BTモデルで求めるのは強さを表す「π i」です。各球団に50(合計300)を与え、強さの平均が50になるようにしています。強いチームほど50より大きく、弱いチームほど50より小さくなります。π iの合計は300になります。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 セ・リーグは実際の順位とπ iは一致していますが、パ・リーグは4位と5位が入れ替わりました。本には「日本ハムと上位チームとの引分を除いた対戦数がロッテよりも多かったためと考えられる」と書かれています。

 続いて、カモと苦手の関係です。下表でプラスが大きいほどカモ、マイナスが小さいほど苦手を意味します。わかりやすくするために、絶対値が0.6以上に色をつけました。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 広島とヤクルトの関係に違和感があるかもしれません。対戦成績は広島から見て14勝12敗で勝ち越しているのに、ヤクルトが苦手になっているからです。
 ここでのカモと苦手というのは単純な勝敗成績で決まるのではありません。全体の対戦成績から個々の対戦成績の期待値を算出し、その差の大小から計算しています。
 下表をご覧ください。これは期待値と差で、本には載っていません。期待値というのはカイ2乗検定で知られる独立性の検定適合度の検定で出てくる期待値と同じです。横に合計すると、実際の勝数に一致します。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 広島とヤクルトの期待値見ると、広島から見て17.76勝8.24敗となっています。広島の成績を考えると、ヤクルトには17~18勝しているべきで、実際の14勝だと期待に満たない→誤差よりも大きい→ヤクルトが苦手と判定されます。一方、ヤクルトから見れば、この弱さの割に広島に善戦したと言えます。
 このような関係を見ることができるのがBTモデルの良い点です。

 対戦成績から順序をつける手法として、サーストンの方法があります。サーストンは『EXCELアンケート太閤』『EXCEL官能評価』に搭載されています。しかし、サーストンは対戦数が等しくなければいけないという制約があります。そこで、引分を0.5勝0.5敗として対戦成績に組み込むと対戦数を揃えることができます。

 BTモデルでは対戦数が等しくなくても計算することができます。30年前と違って現在は交流戦がありますので、12球団の強さを同時に算出することができます。
 下表は2015年ペナントレースの対戦成績で、引分も含めています。特に、交流戦は3戦しかないので、引分を除外するのは勿体ないように思います。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 π iを見ると、平均50を超えたのはパ・リーグの上位4球団だけで、セ・リーグにはありませんでした。特に、ソフトバンクは90.83と圧倒しています。 π iの順位を見ると、ヤクルトと巨人は5位と6位、阪神はオリックスの下となる8位でした。セ・リーグにとって交流戦の対戦成績(負け越し)が響いていると言えそうです。

 続いて、カモと苦手の関係です。先ほどよりも基準を緩くして、絶対値が0.7以上に色をつけました。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 ソフトバンクのような強いチームだと、広島との1勝2敗で苦手と判定されてしまいます。中日やDeNAには2勝1敗と勝ち越していても、-0.6~-0.7になってしまうのです。機会があれば、2005年の交流戦実施以降のデータで12球団の順位付けとカモ・苦手を紹介したいと思います。

 最後に、今年のペナントレースの対戦成績です。ちょうど交流戦が終わったところですので、ここまでの順位とカモと苦手の関係です。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 昨年と同様、ソフトバンクの強さが際立ち、π iは101.94です。セ・リーグでπ iが50を超えているのは広島だけ、30台が3チームもあり、今年も交流戦で苦戦したことが数字に表れています。

ゴロアウトという指標(9)

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 前回は併殺打機会に占める併殺打率が高い投手のランキングを見てきました。今回は走者状況別の併殺打率と左右の打席別の併殺打率を紹介します。

 下記の表は、走者状況別の併殺打率です。
 体裁はこれまでと同じで、左から5列目に併殺打率(併殺打%)を求め、6列目以降では併殺打機会での打撃成績を併記しています。情報量が多くて見づらいと思いますが、併殺打率だけでなく打撃成績を見ることで、どのような打撃内容なのかがわかります。手計算による集計のため、正確性の保証はできないことをご了承ください。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 併殺打機会の打席数を見ると、最多は1死1塁の3906打席、最少は無死満塁の232打席でした。
 併殺打%の最高は1死1,2塁の12.29%、最低は1死1,3塁の6.96%でした。
 犠打%を見ると、やはり無死1塁が28.4%で最も高く、無死1,2塁の24.0%が続いています。無死全体では24.9%、1死全体では5.1%で約5倍の差があります。1死の犠打%が低い分、併殺打%は高くなっています。
 無死満塁では犠打%が0%となっていますが、打席の途中(2ストライク未満)でスクイズに失敗(空振り)して3塁走者がアウトになったケースは含まれていないのでご注意ください。この場合は1死1,2塁などの別の状況として計上されます。
 無死での犠打成功率(安打と犠打が分子)を計算すると、無死1塁84.90%→無死1,2塁63.54%→無死1,3塁54.55%で、走者が先にいるほど成功率が低くなっています。無死1,3塁からの犠打というのが、スクイズを試みたものなのか、3塁走者をそのままに1塁走者を送ったものなのかまでは調べなかったので内訳はわかりませんが、54.55%というのはかなり低いという感想を持たれたのではないでしょうか。

 下記の表は、左右の打席別の併殺打率です。
 体裁はこれまでと同じで、右打席と左打席を比較しました。両打者(スイッチヒッター)は右打席と左打席で分けました。ただし、映像を見て分類したわけでなく、相手が右投げか左投げかで分類しています。まずないと思いますが、左投手を相手に左打席に入った場合は考えていません。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 併殺打機会の打席数を見ると、右打席が6709打席左打席が5074打席でした。
 併殺打%は右打席が10.33%左打席が7.80%で、右打席の方が約1.32倍高くなっています。やはり、1塁から離れている右打者にとって厳しい結果となっています。
 気になるのは同じ右打席でも、純粋な右打者とスイッチの右打者で打率や長打率に開きがあり、スイッチの方が非力な印象です。打撃を期待されていないのか、犠打%もスイッチの右打者の方が高くなっています。

 なお、スイッチヒッターの併殺打機会数の上位3人の併殺打%は以下の通りです。
 (1)アンダーソン・エルナンデス(中日):右打席(26打席で11.54%)、左打席(90打席で11.11%)
 (2)松井稼頭央(楽天):右打席(19打席で0%)、左打席(66打席で10.61%)
 (3)藤井淳志(中日):右打席(16打席で6.25%)、左打席(57打席で5.26%)

 以上5回に亘って併殺打%を紹介しました。全ての打席を検証するのはかなり大変でしたが、各球団のWebページなどで公開されている試合状況を追えばそんなに難しいことではありません。全球団まではできないという方は自分の応援している球団から始めれば良いのではないでしょうか。