ゴロアウトという指標(7)

 このブログでは、
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などをおこないます。

 今回は事例の紹介です。
 2015年のプロ野球のデータを取り上げます。できるだけ公式記録集などに載らないような記録に着目していきます。

 前回はゴロアウトと併殺打が多い打者のランキングを見てきました。今回は併殺打機会に占める併殺打率が高い打者のランキングを紹介します。
 併殺打というのは起こる条件というのが限られますので、打席数や打数を分母にするのは問題があります。「無死ランナーなし」や「1死3塁」で打席に立つ打者には絶対に併殺打が記録されることはありません。これらの打席を分母に入れて併殺打率を計算しても公平な比較ができません。そこで、今回は64918打席のアウトカウントと走者状況を調べ、打者ごとに併殺打の機会数を数えました。「ヤフースポーツ」と「サンケイスポーツ」を参考にしました。手計算による集計のため、正確性の保証はできないことをご了承ください。

 下記の表は、併殺打率のランキングです。併殺打機会の打席数を50以上としました。
 左から6列目に併殺打率(併殺打%)を求め、7列目以降では併殺打機会での打撃成績を併記しています。併殺打率だけでなく、打撃成績を見ることでどのような打者なのかがわかります。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 まず、併殺打機会の打席数を見ると、最多は浅村栄斗(西武)の150打席、最少は井口資仁(ロッテ)の50打席でした。2~5番打者が多くなっています。
 併殺打率の1位は今江敏晃(ロッテ)の20.00%でした。85打席のうち17打席が併殺打でした。併殺打が1位の内川聖一(ソフトバンク)は3位(17.91%)でした。
 上位15人を見ると、福留孝介(阪神)倉本寿彦(DnNA)以外は右打者です。また、右から5列目の「犠打%」を見ると、嶋基宏(楽天)岡大海(日本ハム)以外は低い値です。ここでの「犠打%」というのは、バント安打、犠打成功、犠打失敗(ゴロやフライで走者を送れなかった)、3バント失敗、バント併殺打の合計で、機会打席数に占める犠打企図の%のことです。犠打企図の%が低いということは、打撃(ヒッティングでのチャンス拡大)が期待されている打者だということです。

 改めて上位15人の打撃成績も見ると、
 ・打率が.250未満は、嶋基宏、新井貴浩(広島)、倉本寿彦
 ・出塁率が.300未満は、嶋基宏、倉本寿彦、岡大海
 ・OPSが.700未満は、今江敏晃、嶋基宏、新井貴浩、ルナ(中日)、倉本寿彦
となっており、嶋の成績が悪い意味で目立ちます。安打数9と単打数6はそれぞれワーストタイです。
 犠打企図%が高いのに併殺打%が高いということは、犠打企図を除くとさらに併殺打%が高くなるということです。犠打企図が15なので、これを除くと、併殺打%は22.4%(=11÷49)となり、今江を上回ります。嶋はP/PAが高い(=球数を多く投げさせる≒アウトになりにくい)代表的な選手ですが、アウトを余分に与えてしまう併殺打%が高いというのは何とも皮肉な話です。

 上位15人の中で、村田修一(巨人)は打率、出塁率、OPSが1位でした。2015年シーズンは成績を落とし、規定打席にも達していなかったので、この成績は意外だったかもしれません。併殺打も多いが塁に出る数も多いという右の強打者ならではの結果と言えます。
 16位以下で特徴的な選手を以下に挙げます。
 ・19位の川端慎吾(ヤクルト)は安打数と単打数が1位
 ・22位の清田育宏(ロッテ)は打率と出塁率と2塁打と3塁打が1位
 ・37位の山田哲人(ヤクルト)は長打率と塁打とOPSが1位、本塁打が1位タイ
 ・39位の中村剛也(西武)は塁打÷安打が1位、本塁打と三振が1位タイ
 ・48位の銀次(楽天)は三振と三振%が最下位、塁打÷安打が最下位タイ
 ・57位の柳田悠岐(ソフトバンク)は出塁と死球が1位

 これまでは併殺打機会の打席数が50以上の打者に限定していましたが、打者全員を合計してチーム別の併殺打率をまとめたのが下表です。画像をクリックすると、別ウィンドウで拡大画像が開きます。

 併殺打機会の打席数を見ると、最多はソフトバンクの1111打席、最少はDeNAの901打席でした。
 併殺打の最多はソフトバンクの109、最少はDeNAの75で、併殺打%の最高は楽天の10.05%、最低は西武の8.32%でした。
 パ・リーグとセ・リーグを比べると、併殺打%と三振%はほぼ同じ、犠打%はセの方が高くなっています。セは投手が打席に立つので犠打が多くなるのは自然と言えます。
 ソフトバンクは安打数と出塁数と塁打数が1位で、犠打の少なさが併殺打の多さに繋がったと言えます。
 西武は併殺打%が最低で三振%が最高でした。犠打がリーグ平均並み、本塁打と長打率とOPSなどが1位で、ソフトバンクと遜色のない数字を残しています。
 DeNAは併殺打が少ないですが、安打数と出塁数と塁打数などが最下位でした。犠打%は1位ですが、三振%も高く、繋ぐことができなかったと言えます。

 次回は併殺打機会に占める併殺打率が高い投手のランキングを紹介します。

ゴロアウトという指標(6)

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 今回は事例の紹介です。
 2015年のプロ野球のデータを取り上げます。できるだけ公式記録集などに載らないような記録に着目していきます。

 前回はゴロアウトと併殺打が多い投手のランキングを見てきました。今回はゴロアウトと併殺打が多い打者のランキングを紹介します。

 下記の表は、ゴロによるアウトのランキングです。1つ目の表がゴロアウト数の多い順(20位まで)、2つ目の表がゴロアウトの割合(打席数で割り算)が高い順です。2つ目では打席数を150以上とし、ゴロアウトの割合が28%以上(打者全員のゴロアウトの平均は23.0%)を掲載しました。数値は「エキサイトベースボール」を参考にしました。手計算による集計のため、正確性の保証はできないことをご了承ください。また、バント失敗によるアウトは含めておりませんのでご注意ください。

 ゴロアウト数の1位は大島洋平(中日)の211個でした。特に、ピッチャーゴロとセカンドゴロが多く、こちらも1位でした。昨年1位だった川端慎吾(ヤクルト)は3位でした。主に1~3番を打つ巧打者タイプが多いようです。積み上げていく記録ですので、当然のことながら上位には打席数が多いレギュラー野手が並んでいます。

 続いて、ゴロアウトの割合を見ていきます。
 1位は田中浩康(ヤクルト)の38.4%でした。特に、ショートゴロの割合が高く、藤井彰人(阪神)に次いで2位でした。昨年1位だった岡田幸文(ロッテ)は2位でした。
 ここで名前の挙がっている多くが、主に1~2番や下位を打つタイプが多いことがわかります。

 最後に、併殺打のランキングです。下記の表は、併殺打の多い順(18位まで)です。併殺打もゴロによるアウトですが、一度に2アウトになるので区別して集計しました。ここでの併殺打は、「ヒッティングによるゴロ」と「バントによるゴロ」の合計です。1打席で2つ以上のアウトを献上する併殺打は、打者にとって最悪の結果と言えるかもしれません。

 1位は内川聖一(ソフトバンク)の24個でした。これも積み上げていく記録ですので、上位には打席数が多いレギュラー野手が並んでいます。
ここで名前の挙がっている多くが、3~5番や強打者タイプの右打者であることがわかります。振り切った強い打球が野手の正面をつくことで併殺打が生まれやすくなるといえるでしょう。
 公式記録には載っている記録ですが、打球方向も併せて見ることで新たな発見があるのではないでしょうか。

 次回は打席数ではなく併殺打の機会数を分母にした併殺打率を紹介します。